Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
「のどかですねえ、実に。―――」
要は小屋がけの中へ這入るとそう云って老人と眼を見合わせた。のどか、―――全く此処の感じは「のどか」の言葉で尽きている。いつであったか四月の末のあたたかい日に壬生狂言を見に行ったとき、お寺の境内のうらうらとした春の気分が桟敷にいてもうっとり睡けを催して、遊んでいる子供たちのガヤガヤ云う話声や、露店で駄菓子やお面を売っている縁日商人のテント張りがびいどろのように日に光るのや、その他いろいろの雑音が舞台で演ぜられている狂言の、間伸びのした悠長な囃しと一つに融けて聞えて来る中で、ついとろとろと好い心持に眠りこけては、又はっとして眼をさます。二度も三度も、とろとろとしてははっと眼をさます。………その同じ事を何度か繰り返すのであるが、眼をさます毎に舞台を見ると、さっきの狂言がまだ続いていて、悠長な囃しが依然として聞え、桟敷の外は相変らず日がうらうらとテント張りに光っていて子供たちがガヤガヤ遊んでおり、長い春の一日はいつになっても暮れることは知らないかのように、………昼寝をしながらまとまりのない夢のかずかずを幾つともなく夢みてはさめ、夢みてはさめしたかのように、………太平の御代の有り難さと云おうか、桃源の国と云おうか、久しぶりに浮世を離れたのんびりとした心持になって、こんなことは幼い時分