Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
―――テケレッテ、テットンドンと云う、つまりあれだ」
「きっと低級な活動小屋のジャズでもお聴きになったんじゃないの」
「あれにも高級があるのかい?」
「あるわ、そりゃあ、………ジャズだって馬鹿になりゃしないわ」
「どうも今時の若い者のすることは分らんよ。第一女が身だしなみの法を知らない。たとえばお前のその手の中にあるのは、そりゃあ何というもんだね」
「これ? これはコムパクトというもんよ」
「近頃それが流行るのはいいが、人中でも何でも構わずそれを開けて見ては顔を直すんだから、ちっとも奥床しさというものがない、お久もそいつを持っていたんでこの間叱ってやったんだがね」
「でもこれは便利なもんよ」
と美佐子はわざと悠々と明るい方へ小さな鏡を向けながら、キッス・プルーフを唇へあてて丹念に紅を引いた。
「それ、その恰好がよくないよ。堅儀な娘や女房はそう云う形を人前で見せなかったもんだがね」
「今は誰でも見せるんだから仕方がないわ。わたしの知っている奥様で、会の時にテーブルへ着いてからきっとコムパクトを持ち出すんで有名な人があるくらいだわ。お皿が眼の前に出ているのを其方除けにして顔を直しているもんだから、その人のお蔭でコースがちっとも捗らないの、ああなられても極端だけれど」