Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate

Aozora Bunko

「面白いよ、なかなか、………」

要は一旦テーブルの上に伏せた洋書を取り出して、それを自分にだけ見えるように顔の前へ立てていた。開いたところの一方のページに裸体の女群が遊んでいるハレムか何かの銅版の挿絵があるのである。

「何しろそいつを手に入れるにゃあケリー・ウォルシュへ何度掛け合いに行ったか知れんぜ。ようようイギリスから取り寄せたと云うんで出かけて行くと、先は足もとを見やがったのか二百ドルが鐚一文も負からない、この本は目下ロンドンにだって二部とはない、それを負けろなんてお前が無理だと抜かすんだ。此方は本の相場なんてものは一向知らんのだし、まあまあそれもそうだろうがと云う訳で、さんざ押し問答をした揚句、やっと一割引かしたんだが、金はその代りキャッシュで即座に払えと云うんだ」

「まあ、そんなに高い本なの?」

「だってお前、これ一冊じゃあないんだぜ、全部で十七冊あるんだぜ」

「その十七冊もある奴を、持って来るのが又一と苦労だったんだよ。オブシーン・ブックだと云う話だし、イラストレーションもあると云うんで、税関に見付かったら厄介だと思って、トランクの中へ押し込んで来たのはいいんだが、そいつが馬鹿に重いもんだから持ち運びが大変で、どのくらい骨を折ったか知れんね。