Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とししゅん

蜘蛛の糸・杜子春

芥川 竜之介

Leggi 蜘蛛の糸・杜子春 (とししゅん) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.703 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

アグニの神

一

支那の上海の或町です。昼でも薄暗い或家の二階に、人相の悪い印度人の婆さんが一人、商人らしい一人の亜米利加人と何か頻に話し合っていました。

「実は今度もお婆さんに、占いを頼みに来たのだがね、――」

亜米利加人はそう言いながら、新しい巻煙草へ火をつけました。

「占いですか? 占いは当分見ないことにしましたよ」

婆さんは嘲るように、じろりと相手の顔を見ました。

「この頃は折角見て上げても、御礼さえ碌にしない人が、多くなって来ましたからね」

「そりゃ勿論御礼をするよ」

亜米利加人は惜しげもなく、三百弗の小切手を一枚、婆さんの前へ投げてやりました。

「差当りこれだけ取って置くさ。もしお婆さんの占いが当れば、その時は別に御礼をするから、――」

婆さんは三百弗の小切手を見ると、急に愛想がよくなりました。

「こんなに沢山頂いては、反って御気の毒ですね。――そうして一体又あなたは、何を占ってくれろとおっしゃるんです?」

「私が見て貰いたいのは、――」

亜米利加人は煙草を啣えたなり、狡猾そうな微笑を浮べました。

「一体日米戦争はいつあるかということなんだ。それさえちゃんとわかっていれば、我々商人は忽ちの内に、大金儲けが出来るからね」