Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とししゅん

蜘蛛の糸・杜子春

芥川 竜之介

Leggi 蜘蛛の糸・杜子春 (とししゅん) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.703 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

と同時に妙子の耳には、丁度銅鑼でも鳴らすような、得体の知れない音楽の声が、かすかに伝わり始めました。これはいつでもアグニの神が、空から降りて来る時に、きっと聞える声なのです。

もうこうなってはいくら我慢しても、睡らずにいることは出来ません。現に目の前の香炉の火や、印度人の婆さんの姿でさえ、気味の悪い夢が薄れるように、見る見る消え失せてしまうのです。

「アグニの神、アグニの神、どうか私の申すことを御聞き入れ下さいまし」

やがてあの魔法使いが、床の上にひれ伏したまま、嗄れた声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、殆ど生死も知らないように、いつかもうぐっすり寝入っていました。

五

妙子は勿論婆さんも、この魔法を使う所は、誰の眼にも触れないと、思っていたのに違いありません。しかし実際は部屋の外に、もう一人戸の鍵穴から、覗いている男があったのです。それは一体誰でしょうか?――言うまでもなく、書生の遠藤です。

遠藤は妙子の手紙を見てから、一時は往来に立ったなり、夜明けを待とうかとも思いました。が、お嬢さんの身の上を思うと、どうしてもじっとしてはいられません。