Classici giapponesi con furigana
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じじょにかえて
近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎
蔵原 伸二郎
Leggi 近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎 (じじょにかえて) di 蔵原 伸二郎 (くらはらしんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6296 caratteri · 17 schermate
故郷
壺
鴉
暗号
故郷
故郷をもたない男が
故郷をおもつた
故郷を思うとむやみに喉が渇いた
いつも野原と空がむかい合つていた
ときどき雲があらわれ
ときどき雲が消え
ときどき草の間からバツタが飛んだ
壺
千二百年前に
一人の陶工が残したイメージが
暮れなずむスカンポのやぶに
ころがつている
スカンポの根は夕焼け色だ
その人の創つたこの青い壺の形象から
そのひとの姿がかすかに浮かびあがる
その人は
夕焼けいろの草むらから
音もなく立ちあがつたとおもうと
びつこをひきひき
千二百年の時を逆に歩きだした
鴉
広漠たる原野
背に夕陽をうけて 軽快に
飛んでいた 鴉が
突然 死んだ
鴉は高い空から垂直に落下した
と同時に
あかねいろにそまつた野の地平線から
彼の大きな影が
目にもとまらぬ速さで
じぶんの死骸にかけこんできた
この地球に偉大な影を落していた鴉は
心臓マヒだつた
暗号
あの 時間を逆につたわつてくるものは
何だろう
未来からの暗号
あれは しかし 人間のそれではない
もちろん ありもしない神なんかでもない
あそこの沙漠の
だんだん乾燥してゆく 抽象的な空の下で
地上にのこされたたつた一本の草に
すがつて
最後の蝶が発信している