Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じじょにかえて

近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎

蔵原 伸二郎

Leggi 近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎 (じじょにかえて) di 蔵原 伸二郎 (くらはらしんじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6296 caratteri · 17 schermate

Aozora Bunko

岩魚

鮭

すずめ

岩魚

――宋青磁浮紋双魚鉢――

五月のあかるい昼さがり

あまりに生の時間が重いので

私はひとり青磁の鉢を見ている

空いろの底に

二匹の岩魚が見えたりかくれたり

すぎる風に水がゆれると

岩魚の背もかすかに紅いろに光る

また 水底をよぎる遠い宋時代の雲

ながい時間のかげりをひいて

愁いの淵に岩魚は ねむり

時に目を醒まして はねると

いつのまにか蒼天をおよいでいる

鮭

白い皿の上の

鮭の切身

午前九時の青い太陽の

投影する北国の水の中

おいつめられたあいつが

きゆうといつて息たえた時

あいつの鱗は全部虹色に光つた

午前九時になると

いつでも あいつの亡霊が

白い皿の海を

いつたりきたりする

すずめ

ながい間

雀は小さい卵をあたためていた

熱つぽい胸毛をひやすために

初夏の夕暮れに飛びたつた

岸辺の

青い風のふいている竹藪の梢にとまり

風にゆれながら

しばらくは羽毛をくしけずり

羽虫をふるい落した

それから きりつと威厳をつくつて

菫いろに暮れてゆく山脈をながめ

遠くまで光る川をながめ

うす紅いろにかがやく雲をながめ

それから 首をかしげて

卵の中で鳴いているひよこたちの

かすかな声をきいていた