Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
乾はどういう工合に切り抜けたものかと考えながら、
「……サス? ……なんのことだか、一向どうも……、あたしは、ひとさまに迷惑をかけるようなことは、ついぞ……」
「野郎! しらばっくれやがって!」
古田が立ちあがった。乾は腰をかがめてバタバタと扉のほうへ逃げる。壁のところですぐ追いつめられてしまった。
古田は乾の襟がみをつかみ、ずるずると寝台のところまで引きずってきて、あおのけにその上へ圧えつけると、左手で乾の喉をしめながら、右手を上衣の衣嚢に突っこんで匕首をひきぬいた。乾の鼻の先でドキドキとそれが光った。いまにもグサリと喉元へきそうだった。
「助けてくれ」
「ぬかせ!」
首すじにヒヤリと冷たいものがさわった。
「それあ……無理だ……あたしはなにも……」
「殺るぞ!」
力まかせに喉をしめる。
「く、……くるしい……」
「てめえが密告たと教えてくれたやつがある。……言え!」
〈こんな気狂いとやりあったって仕様がない。まあ、する通りさせておけ。……まさか殺すまでのことはしやすまい。……それにしても、どいつが言やがったんだ〉
わざと怒ったような調子で、
「だれだ、それあ。