Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

「――」

平次は舌打ちを一つ、大きな伸びをすると、それを合図のように、バタバタと路地を駆けて来た女の足音。

「あっ、お前さん、無事で」

格子を開けて飛び込んで、上がりかまちへヘタヘタと崩折れたのは、お静でなくてだれであるものでしょう。

「お静か、どうしたのだ」

真夏のことで、障子を開けたままの入口へ、誘われたように平次は顔を出したのです。

「お前さん、本当に何うもしなかったんですか」

「何をいうんだ。おれはこの通り無事だが、お前こそ――」

「おや? 怪我をしているじゃないか、顔をこっちへ見せろ」

引きずり上げるように、浅間の家の中へ、行燈を近か近かと持って来ると、お静の左のこめかみから血が流れて、痛々しくも豊かな頬へ二筋三筋真紅の線を引いているのです。

「私の傷はたいしたことはありません。それよりお前さんは?」

「何をつまらないことをいっているんだ、おれは百までも生きそうだよ。そんな心配をするより、その傷の手当てをしなきゃ」

「でも、お前さんが悪者に斬られて、死ぬか生きるかわからないって――」

「だれがそんなことをいったんだ」

平次も驚きました。お静の話はあまりにも途方もないものです。