Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.671 caratteri · 252 schermate

Aozora Bunko

其処に少しばかりの足溜りの遊びがあって、フト上から降りて来た、下女のお角と摺れ違ったのです。

四十年配の逞ましい女だ、正直そうではあるが四角な顔はひどく頑固そうで、こんな女は何んか思い付いたら大変な事をやってのけるのではあるまいかと思わせます。

二階へ登ると、奥の六畳が主人岩太郎の寝部屋で、其処に岩太郎の死骸が、豪勢な床の中に、無造作に転がしてあるのです。床の側にはお妾のお峰が、たった一人泣き濡れて居り、無闇矢鱈に燻べるらしい線香の煙が、部屋一杯にこめて、いきなり入るとむせ返るような心持になりました。

「こんな姿になりましたが――親分」

お峰は平次を迎えて涙と媚と異様な警戒とこんがらかった顔を振り仰がせました。

見ると早くも黒髪を、襟のあたりで切り落して、しおらしく珠数などを爪繰って居るではありませんか。

岩太郎の死骸は、血を失って蒼黄色くなって居りますが、脂の乗り切った顔には、さしたる変化もなく、苦痛のあとさえありません。傷は後から左の胸を突き貫けるほど刺したもので、第一番に駆けつけたお峰の手が抜いたという脇差が、死骸の側に鞘と一緒に転がしてあるのも浅ましい限りでした。