Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate

Aozora Bunko

「安心していますよ、――驚いたな、どうも」

「嫌なら止すがいい、俺がやる」

銭形平次ともあろう者が、本当に中二階へ登りそうな様子になるのです。

「じょ、冗談じゃねえ、銭形の親分がそんな事をした日にゃ、江戸中の物笑いだ。あっしがやりますよ、やりますとも」

親分思いの八五郎は、こうなるともう悪びれませんでした。普賢菩薩の涙を舐めてみろと言う平次の言葉には、何か重大な底のあることは、もう疑う余地もなかったのです。

八五郎は黙って梯子を登ると囃子方の中二階へバアと顔を出しました。

「お前さん、そこへ登っちゃ困るじゃないか」

後ろから引下ろしそうになる男は、八五郎が懐からちょいと、十手を覗かせるとそのまま黙って引っ込んでしまいました。

疎らになっている客は、もとより八五郎のとんでもない冒険の意味などを知るはずもなく、木戸番のお倉は、委細構わず、素晴らしい次高音を響かせて、両国中の客を、鉄片を吸う磁石のように、ここへ集めております。

中二階に登って及び腰になると、ちょうど仏体に手が届きます。

「…………」

仏像の涙を薬指に付けて、ほんの少しばかり舐めた八五郎の顔を、平次は世にも面白そうに見上げました。