Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate

Aozora Bunko

「お倉が縛られたってね」

平次はその顔を真っ直ぐに見詰めながら、ズバリと言って退けました。

「ヘエ、元の亭主を殺したんだそうで」

「たいそう早耳じゃないか、俺も今それを聞込んだばかりなんだが」

「…………」

「まア、いいや、ちょいと小屋の中を見せて貰おうか」

「ヘエ――」

ズイと入ると、中は空っぽも同然、地獄の活人形に朝の陽が射し込んで、何となく不気味なうちにも、拙劣な細工が醸し出す、滑稽な趣があります。

平次はそんなものには眼もくれず、真っ直ぐに普賢菩薩に近づきました。傍へ寄って触ってみると、白象は蝋細工に綿を着せたもので、恰好は出来ておりますが、上に乗った普賢菩薩の、優れた尊像とは似も付かぬ誤魔化し物です。

「ガラッ八、その踏台を持って来てくれ」

「ヘエ――」

象の下に踏台を据えさせると、平次はその上に乗った菩薩を少し上げ、台座の下から覗きました。

「この銘は一度書いたのを削ってまた書き入れたようだね」

「一向存じません」

巳之吉は酸っぱい顔をしております。

「八、その辺に手桶があるだろう、捜してみな」

ガラッ八を中二階へやって、平次は下から声を掛けました。

「捜すまでもありませんや、ここにありますぜ」