Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なべしまかいのかみ

鍋島甲斐守

吉川 英治

Leggi 鍋島甲斐守 (なべしまかいのかみ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.322 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

九

『何ぼ何でも、余りといえば乱暴な。――町役人の来ないうちに、はやく退散したらどうだ』

『その町方様からして、やれやれと云っているんだから、来る筈はありません』

『何せい、ここを出てくれい。いやと申せば、新之助が、そち達を相手にするぜ』

『およしなさい新之助さん、おまえさんはここのお高と、仲がいいって噂だが、あんな親父を持って御覧じ、今に後悔しますぜ』

『よけいな事を申すな。神輿を出せ』

『おまえさんを相手に喧嘩したって初まらねえ。じゃあ、新之助さんの顔に免じて、出してやろうか』

九

海嘯の通った後のような有様だった。勿論、明りも消えている。

壊れた窓のすだれ越しに、向う側の祭礼提灯の明りが、かすかに流れこんでいるだけである。

『――お高さん、お高さん』

新之助は、その中に立って、呼んでいた。

台所の戸の外で、

『ここですよっ……開けてくださいっ……戸があかないんです』

お高の声だった。

新之助が走って行こうとすると、その前に戸が外れて、転び込むようにお高が入って来た。

『お父さんは? ……お父さんは? ……』

『知らんっ』

抱きしめた男の手のつよさと、その顔いろの蒼ざめているのに気づいて、