Classici giapponesi con furigana
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なべしまかいのかみ
鍋島甲斐守
吉川 英治
Leggi 鍋島甲斐守 (なべしまかいのかみ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.322 caratteri · 23 schermate
『し……新さん……どうかしたんですか……どうかなすったんですか』
『おわかれだよ、おまえとも』
『えっ』
『…………』
深い息をついて男はうなだれてしまった。
お高は、おののいて、泣き声になりながら、新之助の胸をゆすぶった。
『どうしてですっ……そ、そんな……そんな事、わたしは嫌です』
『おまえの父親にあとで聞いてくれ』
『……わかりました。じゃあ、お父さんが今夜、むごい催促をしたので、それで新さんも、怒ったんですか。かんにんして下さい。お父さんはまだ、私とあなたの仲を知らないのですから』
『それだけじゃない』
『では、……いったい何うしたのですか』
『おれの父は』
新之助は、嗚咽をのんで、
『――おれの父の銀左衛門は、たった今、恩人の邸へ行って、自害した』
『あっ――うちのお父さんの為に?』
『いう迄もない事だ。ここへ来たのは、彦兵衛を斬って、父のうらみを慰めようとして来たのだが、この土足の痕を見ては、それも愚と考え直した。――お高さん、これきりだぞ』
『待ってください。し、新さん、私をつれて逃げて下さい』
『ばかなっ、仇の娘を』
『仇でしょうか。――ふたりの仲は』
『世間がゆるさない』