Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
で、自分が案内して、附近の家へお米を待たせておき、口を拭いて、目付の執務所へ帰ってきた。
啓之助が使用している机の側から、煙草盆を煙管の首で引ッかけて、その縁側に腰をすえこんでいた甲比丹の三次。顔をみると狎れッこい態度で、
「ああいう美女をこの山奥まで逢いに来させるなんて、旦那も、なかなか罪つくりでございますね」と、啓之助にとっては、すこぶる不愉快なお追従笑いをした。
「そんなことはどうでもいいが、三次とやら」
「やらはござんすまい……ご存じの仲で」
「揚げ足をとるな。多用な役宅のことじゃによって、用向きの次第、簡単に承ろう」
「簡単にね、結構でございます。じゃ手ッ取り早く申しますが、森様、まことにご迷惑じゃございましょうが、ひとつ、わっしをお船手か何かでお使いなすって下さいませんか」
「では、何か、貴様は雇われ口を求めにまいったのか」
「至る所を食い詰めましてね、もうこの阿波よりほかにゃ、のんきに暮らせそうな所はねえんで」
「それは断る。殊に、お船手の水夫も、今では他国者をお召抱えにはなるまい」
「じゃ、それはよろしゅうございます。断られて引っ込むことに致しやす――。