후리가나로 읽는 일본 고전
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
若山 牧水의 みなかみ紀行(みなかみきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 102,087자 · 203화면
人にも会わぬ寂しい山路であったので、いかにも思いがけないものに思われ、茂った枝葉の中に身を静めながら耳を澄ますとそれは例の伊奈節を唄っている男の声であった。唄はよくわからぬが一人か二人の声である。信州を旅行した人はよく知っているであろうが、この国に専ら流行している民謡に二つの節がある。一は木曾川の流域を本場とする木曾節であり、一は天竜川に沿うた伊奈谷の伊奈節である。簡素に於ては前者まさり、優婉の節廻しは伊奈節遥かに木曾節にすぐれて居る。いまその伊奈節がこの日影乏しい秋の渓間に起って居ようとは思わなかった。そぞろに身内に湧く興趣に心をときめかせてなお聴いていると、やがてはその唄も解って来た。
東高津谷西駒ヶ岳あいを流るる天竜川
天竜下れば飛沫がかかる持たせやりたやひのき笠
私はそれを例の牛を追って来る若者たちの唄だと思った。そして彼等を驚かすことを恐れて急いで樫から降りて来た。何故ならば私の登っていた枝はその渓間の径の真上にさして出ていたからである。そしてまた急ぎ足に歩き始めた。程なく途中で逢うことときめて来た牛追いたちにはなかなか出逢わなかった。が、やがてその伊奈節は渓に沿うて洪水のためにくずれ落ちた道路を直している若者の唄っているものであることを知った。