후리가나로 읽는 일본 고전
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
若山 牧水의 みなかみ紀行(みなかみきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 102,087자 · 203화면
着物や着茣蓙の端に触れて頻に音をたてながら芒の霜が落つる。この辺の霜は雪ともつかず氷ともつかぬ細かな結晶となっていて地といわず草木の枝葉といわず、一面に真白に置き渡しているのである。
先に立ってその荒い霜を落しながら歩いていた老案内者は不意に径からそれて傍の雑木の中に入って行った。そして高い脊を屈めて頻りと何かを探している。やがて一種の昂奮をその赭ら顔に見せて林から出て来た。如何したのだ、何があったと訊くと、イヤ熊が出たという。熊はこの深山に円い土の塔を作って棲んでいる蟻の群を好んで食うので、先刻から熊の足あとらしいものをちょいちょい見て来たのだが、いまその蟻を食った跡があったので愈々そうだということが解った。而もその跡の乾いている所を見れば一昨夜の雨より後、昨夜あたり出たに相違ないという。此辺にも出て来るのかと呆れれば、どうしてどうして温泉宿の勝手口の裏にもよく餌をあさりに来るという。
蟻の巣の跡を見てからこの七十歳前後の老人は急に雄弁になった。そして自分のこと他人のこと、いろいろな熊狩の話をしだした、一人で年々七八頭も打つ者がいるが、それ等はそれで十分一年の生活費が得らるるわけだけれど皆博奕に打込むので、もともとだとも笑った。