후리가나로 읽는 일본 고전
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
若山 牧水의 みなかみ紀行(みなかみきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 102,087자 · 203화면
林から折れて出ると直ぐ大野原の一端に入り込んだ。この前の時も一寸此処へ立ち入って、涯のない野原の美しさと、それを前に置いて独り高く聳えて居る富士山の神々しさにつくづくと心を酔わせたのであった。その時は眼に満つる一面の秋草の野であった。たまたまに野のうねりの円い岡から岡へ啼いて飛ぶのは鶉であった。いまはまた見ゆる限りの青草の海である。珍らしく紅空木の花が咲いて居るほかは何ひとつ花とて無く、名さえもわかぬ草の種類がひた茂りに茂って居る。そして天にも地にも入り乱れて雲雀が啼き交わして居るのであった。
元来この大野原は陸軍野砲兵の実弾射撃演習地となっているのだ。野の中央所に砲を据えて、一日は野の下部を目がけて撃ち、一日は上手の方に的を置いて撃つのだそうだ。今日は幸いにもその上手に当る富士の根際の方の休みの日であった。それで其処を通る事が許されていたのである。
それでもやがて下の方で撃ち出した大砲の殷々たる響きを聞くと何となく心が騒いだ。ことに自分の通っている道から両側にかけ三四尺四方の穴を穿って落下した弾の痕が無数に散らばっているのを見ると、あたり一面に草のみ茂って人の影とても無い中のことで、どうしても落ちついて歩いている気になれなかった。