일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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イタリアのことう

伊太利亜の古陶

宮本 百合子

宮本 百合子의 伊太利亜の古陶(イタリアのことう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,477자 · 31화면

아오조라 문고

何故なら彼はこの瞬間、N会社の取締役としての日下部太郎でもなければ、高畠子爵相談役としての彼でもなかった。ましてみや子の良人だということなどは念頭にもなかった。彼は心魂から根気よい、熱心な情の深い古陶器愛好者となりきっていたのであった。

子爵と喋りながら、暖炉前のぽかぽかする場所から何心なく室内の装飾を眺めていた日下部太郎は、ふと側棚にある一枚の皿に目がとまると、覚えず眼を瞠って椅子からのり出した。天井から来る明るい燈光の煌きと、大卓子の一隅からのデスク・ラムプの乳色を帯びた柔い光とを受け、書斎の高い※(「木+解」、第3水準1-86-22)の腰羽目は、落着いた艶に、木目の色を反射させている。その前に、紫檀の脚に支えられ、純粋極る東洋紅玉のような閃きを持った皿が、一枚、高貴な孤独を愉しむようにゆったり光を射かえしていた。直径九吋もあろうか。濃紅な釉薬の下からは驚くべき精緻さで、地に描かれた僧侶の胸像が透きとおって見える。

これ程のものが今迄彼に見えなかったのは、偏に彼の位置がわるかったからに違いない。日下部太郎は、感動を声に出して立ち上った。彼は高畠子爵が背後から何か云ったのを聞きしめる余裕を持たなかった。