후리가나로 읽는 일본 고전
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
山本 周五郎의 夏草戦記(なつくさせんき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 21,107자 · 41화면
「そのほう掟の条目を知っているだろうな」副将がそばから云った、「覚えておるとおり申してみい」
「はっ、立番を仰付けられたる者は」と暗がりのなかで番士はかたちを正しながら、低いけれど力の籠った調子で答えた、「許しなくしてその持場を動くべからず、万一その掟に触れたる者は、仔細を問わず死罪たるべきこと」
「……よし、仔細を問わずということを忘れるな、たのむぞ」そして二人はまた他の方へとまわっていった。
立番の者に会うごとにおなじ問答が繰り返されたが、それはいかにもこの一隊の危険なことを示しているものだった。こうして二人が部落の南のはずれへまわっていったときである、狭い桑畑のつづく闇のかなたで、
「待て、誰だ、動くな」という誰何のこえが聞え、ぱたぱたと人の走る足音がした。
「……なんだ」部将が足をとめた。
「夜襲でしょうか」うしろにいた副将がそう云いながら前へ出た。しかし物音はそれっきり絶えて、こんどはなにやら訴えるような若い女のこえが微かに聞えてきた、「ちょっとみてまいります」そう云って副将が走っていった。
部将は道の上にじっと耳を澄ましていた。身のまわりは虫の音でいっぱいだった、寝鳥でも立つのであろう、左がわの叢林の奥で、ときおりばたばたと翼の音がするほか、あたりはひっそりと夜のしじまに包まれていた。