후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,447자 · 21화면
世の中にこれ程馬鹿馬鹿しく、これ程不釣合なことが又とあるでしょうか。
諦める――物を妥協的に考える人には、斯んな調法な言葉もあるのですが、困ったことに青白い小男の村松金之助は、恐しく執着心の強い男で、「諦め」などという言葉を持たない、極めて少数の人間の一人でした。
一日勤めを休んで、翌る日から又勤めに出て見ましたが、自分は精一杯気を付ける積りでも、妙な失神状態に襲われて、時々飛んでもない失策を演じては、組頭に眼の玉の飛出るほど叱られたりするのでした。
それは併し大した問題ではありません。一番村松金之助を苦しめたのは、胸の奥の奥に秘めてあった筈の京姫の俤が次第に怪しくなって、やがて幾日目かには、どうしても京姫の顔を思い出せなくなってしまったことでした。
「恋人の顔――これほど世の中に不思議なものはありませんね、諸君は自分の配偶の顔をはっきり記憶して居ると言い切れますか。十年、二十年つれ添った女房の顔でさえ私共の記憶には覚束ないのですよ。まして火のように燃える情熱の対象となった、恋人の顔――たった一度しか見たことの無い恋人の顔をどうして記憶することが出来るものでしょう」