후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
「わかったよ、なにも二階の喧嘩に張りあうこたあねえやな、いいよ、わかったってばなあ」
「諄いかもしれないがね」と二階では福田くんが辛抱づよく云っていた、「その、は、じ、めさんっていうのもよしてくんないかな、なにも一字一字はなして云うことはないじゃないか、呼ばれるたんびにおれは胃がむず痒くなっちまうよ」
「あなたっててれやなのね、苦労はしたけれど愛されたことがないのよ、本当に愛しあってれば呼びかたにだって心のこもるもんなのよ、お、ば、か、さん」
福田くんは首をすくめる。背骨の関節をつなぐ軟骨が溶けて、背骨ぜんたいが縮むように、躯がすっと小さくなった感じである。
「いちど古市のあたしの実家へいってみましょ」と光子は口癖のように云う、「木場の家は弟の代になってるけど、あたしはおじいさまやおばあさまには誰よりも可愛がられたし、それに長女でしょ」
祖父母が彼女を溺愛のあまり、一度ならず彼女に婿を取って木場家のあととりにしようとし、そのため親類じゅうの騒ぎになり、家族会議が幾たびもおこなわれた。自家用発電所を設けたのも、じつをいえば彼女があととりになったときのために、祖父母が一族の反対を押しきって建造したものであった。