후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
ちょろ
かつ子は眼をあげた。岡部少年は口笛を吹き、上眼使いに向うを見たが、急に振向いて云った。
「また饅頭たべようか」
かつ子は頭を振り、あたし喰べたくないと答えた。
「じゃあまた、いつかね」少年はにこっと笑った、「ぼくこんどスケート始めたんだよ、ローラーじゃなくアイス・スケートなんだ、うまくなったら見においでよな、かっちゃん」
かつ子は黙っていた。岡部少年は自転車を起こし、手を振って、ペダルを踏みながら、しだいに速力を早めながら去っていった。かつ子はそのうしろ姿を見送りながら、「ごめんね岡部さん」と口の中で呟いた。
ちょろ
本名は土川春彦という。五年ばかりまえにこの「街」へ移って来たが、それ以来ずっと、三十七歳だと自分では云い張っている。近所の人たちで四十五、六歳よりも若いとみる者はないが、当人はいつきかれても三十八だと答えた。
妻は幾人あったかわからない。この土地へ来てからでさえ三人変り、三人めが出ていったあと、すでに一年以上も独身ぐらしをしていた。
彼は一メートル六〇ぐらいの背丈で、筋肉質の痩せた躯つきに、顔も痩せて小さく、眼だまと口だけが際立って大きかった。