후리가나로 읽는 일본 고전
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
山本 周五郎의 山彦乙女(やまびこおとめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,360자 · 251화면
なお登り続けながら、彼はそう呟いた。兎に前を横切られるのは凶兆である。そんな気がした。が、考えてみると、そんなことは聞いた覚えがなかった。
登りきったところは、さっき平四郎と立っていた、椹ヶ池のそばであった。すぐ向うに、棒を持った捕方の者が、七八人で、誰かをとり囲んでいる。平四郎はこちらに立って、珍しく大きな声で、「おやめなさい、むだなことです」と呼びかけていた。
「ここをきりぬけたところで、逃げおおせるものではない、せめて終りだけでもきれいにしたらどうです」
相手は返辞をしなかった。刀を青眼に構えて、蒼白くひきつったような顔で、捕方の者を睨みながら、激しく肩で喘いでいた。
藪や林の中を逃げまわったのであろう、これもまた泥だらけで、着物も袴も裂け、髪もばらばらになっていた。主馬は、おっ、と眼をみはった。彼はその顔に記憶がある、いつか麻布南部坂の昌雲寺で、安倍家の法事が行われたとき会った、名は忘れたが、その痩せた、病的に皮肉な顔だちはよく覚えていた。
主馬の認めるとおり、それは遠藤千之助であった。彼もまた、登世といっしょに、この甘利へ来ていたとみえる。