후리가나로 읽는 일본 고전
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
山本 周五郎의 山彦乙女(やまびこおとめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,360자 · 251화면
花世さま
一
花世さま
一
屋根をかけた、一艘の小舟が、佃島の南の海面を、しきりに、右へ左へと、こぎまわっていた。
日の高い頭上の空は、染めぬいたように濃い青であるが、平らに凪いだ海から、たちのぼる熱気のために、遠い眺めは暑くるしく霞んでいた。
小舟の舳先には、麻の肩衣をつけた若者が立って、水面を覗きながら、絶えず片手を振っている。短い半纒に、逞しい下半身をあらわにした船頭は、巧みに櫓を操りながら、その示すとおりに、すばやく舟をこぎまわすのであった。
「どうもおどろきますね」船頭は荒い息をつきながら、「お躯はもう、すっかりおとなになっていらっしゃるのに、気持はおくてなんですかね、このまっ昼間の、見とおしで、平気ですっ裸におなんなさるなんて、あっしゃあ胆をつぶしましたぜ」
「お育ちが違うから……」
若者は、云いまぎらすように、にが笑いをした。
「お大名の奥なんぞでは」と船頭は続けた。「奥方や姫さま方も、風呂へはいれば躯じゅう人に洗わせるし、かわやなんぞでも、御自分じゃ始末をなさらねえってえますがね、つまり恥ずかしいってえことを、御存じがねえってえんだが、お嬢さんもそんなふうでいらっしゃるんですかね」