후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいだすことなど
思い出す事など
夏目 漱石의 思い出す事など(おもいだすことなど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 57,003자 · 113화면
九
森成さんが来てもこの苦しみはちょっと除れなかった。胸の中を棒で攪き混ぜられるような、また胃の腑が不規則な大波をその全面に向って層々と描き出すような、異な心持に堪えかねて、床の上に起き返りながら、吐いて見ましょうかと云って、腥いものを面のあたり咽喉の奥から金盥の中に傾けた事もあった。森成さんの御蔭でこの苦しみがだいぶ退いた時ですら、動くたびに腥い噫は常に鼻を貫ぬいた。血は絶えず腸に向って流れていたのである。
この煩悶に比べると、忘るべからざる二十四日の出来事以後に生きた余は、いかに安住の地を得て静穏に生を営んだか分らない。その静穏の日がすなわち余の一生涯にあって最も恐るべき危険の日であったのだと云う事を後から知った時、余は下のような詩を作った。
円覚曾参棒喝禅。 瞎児何処触機縁。
青山不拒庸人骨。 回首九原月在天。
九
忘るべからざる二十四日の出来事を書こうと思って、原稿紙に向いかけると、何だか急に気が進まなくなったのでまた記憶を逆まに向け直して、後戻りをした。
東京を立つときから余は劇しく咽喉を痛めていた。いっしょに来るべきはずでつい乗り後れた東洋城の電報を汽車中で受け取って、その意のごとくに御殿場で一時間ほど待ち合せていた間に、余は不用になった一枚の切符代を割り戻して貰うために、駅長室へ這入って行った。