후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
「ちいッ」
忠次は馬上で舌打ちしていた。
甲軍の前列から投げてくる砂礫が馬にあたるので、馬が狂って仕方がないのだった。自分の駒ばかりでなく、待機している槍組のうしろにいる騎馬の者のそれがすべて竿立ちとなって荒れるので、さなきだに陣形は動揺する。
槍組の諸士は、忠次の号令を待っていた。忠次が声をからして全軍に、
「出るなッ。この采配が、風を切るまでは」
と、抑えていたからである。
石を投げている敵の前列は、甲州方の進撃路をきり拓いて来た工兵である。だからその水俣の者の隊は怖ろしくないが、一側後ろに精鋭が手に唾して機を計っている。
強い甲軍のうちでも強いと音に聞えている山県隊、内藤隊、小山田隊。なお内藤昌豊や小幡信定などの旗じるしも見えた。
「水俣の者にあしらわせて、わざとこっちの怒りを誘おうとする策であろう」
そう敵の計を見ぬいている忠次であったが、すでに左翼の戦闘は乱軍の状態にあるのに、かくては、二陣の織田家の将士のてまえもある。また本陣の御大将も何と見ておられるやも知れないという気がして――遂に、
「かッ、かかれッ」
と、兜の緒も切れそうなほど、大きな口をあいて、突貫を命じた。