후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
――が、その儚い中に、確と、生きて来ただけの足跡を残さねば、武士としても真の武士ならず、人間としてはなおさら口惜しい限りです。名はお互いに、汚したくないものですな」
半兵衛は、杯をふくみながら云った。――それはまことに、三郎兵衛の現在の心境に打ッてつけた言葉であったから、
「そうだ。……そうだとも」
三郎兵衛も、今は、以前の友と変らず、すっかり胸襟をひらいて、杯をかさねた。
「於ゆう。琴なと弾いて、興を添えぬか」
兄のすすめに、
「はい」
ゆうは、小侍を顧みて、一面の筑紫琴をかりうけ、月明りの映す月の間から、琴を弾じた。
「…………」
敵と味方。――二人の友は、耳をすまして聞いていた。
短檠の灯は、いつか風に消えていたが、三郎兵衛のさし俯向いたままの面に、白い月影が、よけい白く映していた。
嫋々と、絃は鳴る。哀々と、彼女は歌う。
その八絃の音は、ここにある者の心ばかりでなく、城内七百の強者ばらの耳へも腸へも鳴って行ったとみえて、長亭軒の城、松尾山の松籟は、一瞬、しいんと静寂に冴えて、ただ琴の音と、琴の歌があるばかりだった。
「…………」
三郎兵衛の痩せた頬に、数行の涙が、月に光って見えた。