일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

山本 周五郎의 榎物語(えのきものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,519자 · 67화면

아오조라 문고

もう暗くなりかけたころになって、おすげが一人で駆けつけて来た。

「やっぱりあの人だったのよ、あたし一と眼でわかったわ」おすげは茶道具を片づけながら、わくわくした口ぶりで云った、「うしろ姿をひょっと見たときすぐに、あの人だなって思ったの、そうしたら喉のところが塞がっちゃって声が出ないのね、いいえ、躯つきにもあるきぶりにも、眼につくほどの癖なんかないの、ほかの人と違うところなんかどこにもないんだけれど、それでもちょっと見ただけでわかったわ、あの人のほうでもそうですって、もう通りすぎるときにこっちを見たら、すぐにわかっただろうって云ってたわ」

「あしかけ四年も経つのに、よかったわね」

「十年経ってたって同じだと思うわ、あの人もそう云ってたけれど、こういうことって本当にふしぎなものだわねえ」それから急に顔を赤くして云った、「ごめんなさい、黙っていっちまったりして」

「いいのよそんなこと、あたりまえじゃないの」さわは笑って云った、「それよりここはもういいからお帰りなさいな」

「最後のお手伝いですもの、今日はあたし独りで片づけます、あなたはなにもなさらないでね」

人のためになることならどんなことでもしたいという気分なのだろう、さわは云われるとおり黙って見ていた。