후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「どうか刀をおさめて下さい」と玄四郎は静かに云った、「滝尾どのは事実ここにいないのです、その訳を話しますから、いっしょに外へ出て下さい」
「きさまは誰だ、妹のことを知っているのか」
「知っています、まず刀をおさめて下さい、ここを出てから話しましょう」
六郎兵衛は刀をおさめた。手がふるえるのと、眼が見えないのとで、鞘へおさめるのにひまがかかった。
「手をひきましょうか」
「いや」と六郎兵衛は首を振った、「その辺に杖がある筈だ」
小者の一人が、向うに落ちている杖を捨って、持って来た。それは握りごろの太さに長さ五尺ほどの、かなり重みのある樫の棒で、使いようによっては武器にもなりそうであった。玄四郎はその杖を渡し、ゆっくりと歩きだしながら、この屋敷の中へよくはいれましたね、と訊いた。もう五六たびも来た、と六郎兵衛が答えた。盲人なので気をゆるしているのだろう、小者長屋に用があるというとそのままとおす、咎められたことは一度もなかった、と六郎兵衛は云った。
酒井邸を出て、神田橋御門から三河町へかかるまで、六郎兵衛はしきりに首をかしげたり、口の中でぶつぶつ独り言を呟いたりした。