일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면

아오조라 문고

意地の座

意地の座

甲斐が「席次争い」の騒ぎを知ったのは、矢崎舎人の裁きがあって、十日ほど経ったのちのことであった。

それまでにも、甲斐には辛いことが続いていた。おと年(寛文五年)の夏、塩沢丹三郎が毒死し、去年の正月には茂庭周防に死なれた。周防が寝ついていた百余日、病床をみまったのは、僅かに三度だった。それも二度は他のみまい客といっしょで、まったく形式的な挨拶しかしなかった。ただいちど、独りでみまったときも、ほんの四半刻あまりしかいなかったし、そのときでさえも、深入りをした話しは、二人ともしなかった。

――話すことはないな。

――そう、話すことはない。

二人はお互いの眼でそう頷きあった。たしかに、口で話しあうことはもうなかった。周防の顔には、あとの事は甲斐が引受けてくれる、という安心の色があり、甲斐は大丈夫やってくれる、という信頼感があらわれていた。それを証明するように、周防はひと言だけ、先へいって済まない、という意味のことを、微笑しながら云った。

――なに、すぐ追いつくさ。

と甲斐は答えた。

――もうみまいに来るには及ばないぞ。

――そのつもりだ。

――これが別れだな。