후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
闇夜の匂い
――草の擦れる音を聞きつけた十左衛門は、柄杓を置き、ふところ紙を出して顔を拭いてから、杖を取って立ちあがった。
「勘五郎か」と十左衛門は呼びかけた、「勘五郎、おれはここだ」
闇夜の匂い
甲斐が大町の屋敷へ帰ると、片倉隼人が「涌谷から密使が来ている」と告げた。甲斐は頷いて、風呂へはいる、と云い、そのまま居間のほうへいった。居間には行燈がついていて、その脇のところで宇乃が、甲斐の着替えを揃えていた。
甲斐は中の間と境の襖際に立停って、ちょっと不審そうに宇乃を見た。宇乃は眼をあげて微笑し、それから挨拶を述べた。
「宇乃か」と甲斐が云った。
宇乃は甲斐を見あげてまたたきをした。
「見違えた」と甲斐が云った、「たいそうおとなびて見えたので、誰かと思った」
宇乃はおっとりと微笑し、肌着と合わせた紺染め木綿の単衣を取って立ちあがった。
「帯刀さまが落ち鮎を釣っていらっしゃいましたの」宇乃はいつものゆっくりした口ぶりで云った、「仙台へお届けしたいと仰しゃいましたら、おばあさまが、わたくしにいって来いと仰しゃいました」
「もう鮎がくだり始めたのか」
「美しい、みごとな鮎でございますわ」