후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
――刀がない、脇差しかないぞ。
玄四郎は走りながら、勘定部屋に置いてある刀のことを思った。うしろで叫び声が起こり、追って来る人の足音が聞えた。玄四郎はまっしぐらに走ったが、叫び声を聞きつけたのだろう、廊下の向うへ、四五人の侍たちがとびだして来た。ゆく手を塞がれたかたちである、玄四郎は走りながら脇差を抜いた。
乱心者だ、狼藉者だ、と喚く声が前後から聞え、玄四郎は歩速を緩めずに走った。
彼が脇差を抜いたとたん、ゆく手を塞いでいた侍たちは崩れ立った。すると、板縁のほうへ去った仕手たちのうち三人が引返して来、うしろからは口番の侍たちの駆け寄る声が聞えた。玄四郎はまっすぐに走り、脇差を構えたまま仕手たちへぶつかっていった。
「伊達家の方がた」と玄四郎は絶叫した、「伊達家の方がた、謀殺です、討手が掛けられます、御用心ください」
そのとき仕手の二人がとびかかった。玄四郎は一人を斬り、うしろをひっ払って、板縁へ走りこんだ。しかしその背後から、すばやくおどりかかった一人が、両手で腰にしがみつき、玄四郎のよろめくところを、さらに二人、左右の腕へつかみかかった。
――ああ、神。