후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「お屋敷へあがれないでしょうか」
「かよのことは、もう信助に頼んである」
「一年でも二年でもようございます、お屋敷でいっしょに暮すことはできないでしょうか」
おくみは眼を拭いて、甲斐のほうへ振り向いた。甲斐はなにも答えなかった。
「どうしてですの、なぜいけませんの」
「知っている筈だ」と甲斐は穏やかに云った、「なぜいけないかということは、おまえ自身がよく知っている筈だ、いっしょに暮すことは、おまえをもかよをも不幸にする」
「そうときまってはいませんわ、現にこうして十六年もお世話になっていますし、かよが生れてからでも五年、なにごともなく暮していらっしゃるではございませんか」
「この堤は、いつ切れるかわからない」と甲斐が静かに云った、「これまではどうやら保って来た、しかしこの堤は、押して来る濁流を防ぐだけで、ほかにどうする手だてもない、もうひと押し、流れが強くなれば、堤は切れてしまう、いつそのときが来るかわからないし、そのときが来れば、私はこっぱ微塵に押し流されてしまう」
「それはあんまりお考え過しです」
「丹三郎の死も思い過しか」と甲斐が反問した、「身のまわりからでも、塩沢丹三郎が死に、矢崎舎人が罠をかけられて追放された、そしてこんどは、伊東七十郎が斬罪になり、七十郎の一族まで滅亡した」