후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
ほかの客はみんな蹴散らされた。
栄之丞は踏みつぶしてしまった。ほかの客は蹴散らしてしまった。次郎左衛門は今が得意の絶頂であった。彼は天下を取った将軍のようにも感じた。しかもその肚の底には抑え切れない寂しさがひしひしと迫って来た。
芸妓や幇間が囃し立てて、兵庫屋の二階じゅうが崩れるような騒ぎのあいだにも、彼はときどきに涙ぐまれるほど寂しいことがあった。治六のことが思い出されたりした。元日から七草まで流連をして、八日の午頃に初めて馬喰町の宿へ帰ると、治六は帳場の前に坐って亭主と話していた。
「旦那さま。おめでとうござります」
治六はもとの主人の前にうやうやしく手をついた。
「お帰んなさいまし」と、亭主も会釈した。
それらを耳にも掛けないように、次郎左衛門は二階へすたすた昇って行った。
さすがに遊び疲れたような心持ちで次郎左衛門はぼんやりと角火鉢の前に坐ると、亭主は自分で土瓶と茶碗とを運んで来た。
「松の内もいいあんばいにお天気がつづきました」
彼は手ずから茶をついで出した。それは治六が帰参の訴訟に来たものと次郎左衛門も直ぐにさとった。彼はわざと苦い顔をして黙っていると、果たして亭主はそれを言い出した。