후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
それはよく気をつけて見たならば、相変らず小屋の片隅に、独りぽっちでいる黒吉の眼が、妙な光を持って来たのに、気がついたろう。そして、その時は彼の視線の先きに必ず幼い花形の、葉子が、愛くるしい姿をして飛廻っていたのだ。
葉子は、まだ黒吉と同じように、十位だったが、顔は綺麗だし、芸は上手いし、自由な小鳥のように朗らかで、あの気六ヶ敷い団長にすら、この上もなく可愛がられていたから、この陰惨な曲馬団の中でも、彼女だけは、充分幸福なように見えた。
そして、勿論、この陰気な、醜い黒吉が、自分の一挙一動を、舐めるように、見詰めているとは気づかなかったろう。
黒吉自身は、彼女が、自分の事など、気にもかけていない、という事が「痛しかゆし」の気持だった。無論彼女に
「こっちへいらっしゃいよ」
とでも、声を掛けられたら、どんなに嬉しい事だろう。――しかし、その半面
「だらしがないのねエ、あんたなんか、大嫌いよ」
といわれはしまいか、と思うと、彼女に話かけるどころか葉子が、何気なくこっちを見てさえ、
(俺を嗤うんじゃないか)
こうした感じが、脈管の中を、火のように逆流するのだ。