후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
八ノ三
(空を飛びたい!)
という慾望は、尚一層熾烈になって行くのだった。
あのグーン、グーンと全体に響く、快よい鞦韆の鼓動!
あっ、と思った瞬間、虚空を飛翔する虚無の陶酔感!
そして、フト眼の底に浮ぶ「明日の夢」!
なんとそれは魅力のあるものであろうか――。
黒吉は、既にこの常人の窺ってはならぬ「白日の妖夢」の俘囚となってしまったのであった。
全身の支柱を失った、空中に在るときに限って、なぜあのような、とてつもない、そして又、ゾッとするほど正確な「明日」を見ることが出来るのであろうか――。これは、とても簡単には解くことの出来ぬ心理現象である。しかし、黒吉にとっては、それが催眠術であろうが、妖術であろうがそんなことは全然問題でなかった。まるで阿片中毒者のように、それがどんな結果を齎らそうと、知ったことではなかったのだ。ただ、それに溺れ切れれば幸福であったのだ。
黒吉は、日がな一日、汚点だらけの天井を睨んだ儘、そのことばかりを考えていた。
コツ、コツ、コツ……と廊下を渡る跫音がぴったり黒吉の病室の前で止ると、
「もうよろしいのですか……」
といった声は、正しく女の声で、黒吉の鼓膜に残っている声色であった。