후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
「黒ちゃん、シッカリよ……」
いつの間にか、舞台着に着かえて来た葉子は、さすがに彼女も、「解散!」の一語が胸にこたえたと見えて、いつもより心持顔をこわばらせながら、黒吉の肩を叩いた。
ふっと顔を上げた黒吉は、
「うん……」
いつもなら、彼女に肩を叩かれてさえ、そこがほかほかと熱っぽく感じられるほどの彼でありながら、今日は、こっくりと一つ頷いたきりであった。
「葉ちゃん、シッカリやろうぜ」
「ええ」
「葉ちゃんに別れんの、つらいからなあ……」
「まあ、何いってんのさ……一生懸命やって『入り』がなきゃあ、仕様がないじゃないの」
「でも……」
「そんなにくよくよすんなら、一そ、落こちて血鱠になっちゃいなさいよ……」
「ふ、落ちて死ぬんなら独りじゃ、やだよ、葉ちゃんも一緒に引落しちゃう――」
「まあ、――ふん、どうせそうでしょ」
彼女はキラリと眼を光らすと、蓮ッ葉らしい棄台詞を残してさっさと行ってしまった。
黒吉は、相変らず佇立った儘、その葉子の後姿の、異様に蠢めく腰部のふくらみに、激しい憎悪に似た誘惑を覚えて眼をつぶった。
(どうしても、良い夢を見るぞ……)
眼をつぶると、物狂わしいジンタが、あたり一面に吹きすさんでいた……。