후리가나로 읽는 일본 고전
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면
例えば芝愛宕下なる青松寺の前を流れる下水を昔から桜川と呼びまた今日では全く埋尽された神田鍛冶町の下水を逢初川、橋場総泉寺の裏手から真崎へ出る溝川を思川、また小石川金剛寺坂下の下水を人参川と呼ぶ類である。江戸時代にあってはこれらの溝川も寺院の門前や大名屋敷の塀外なぞ、幾分か人の目につく場所を流れていたような事から、土地の人にはその名の示すが如き特殊の感情を与えたものかも知れない。しかし今日の東京になっては下水を呼んで川となすことすら既に滑稽なほど大袈裟である。かくの如くその名とその実との相伴わざる事は独り下水の流れのみには留まらない。江戸時代とまたその以前からの伝説を継承した東京市中各処の地名には少しく低い土地には千仭の幽谷を見るように地獄谷(麹町にあり)千日谷(四谷鮫ヶ橋にあり)我善坊ヶ谷(麻布にあり)なぞいう名がつけられ、また少しく小高い処は直ちに峨々たる山岳の如く、愛宕山道灌山待乳山なぞと呼ばれている。島なき場所も柳島三河島向島なぞと呼ばれ、森なき処にも烏森、鷺の森の如き名称が残されてある。始めて東京へ出て来た地方の人は、電車の乗換場を間違えたり市中の道に迷ったりした腹立まぎれ、かかる地名の虚偽を以てこれまた都会の憎むべき悪風として観察するかも知れない。