후리가나로 읽는 일본 고전
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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
泉 鏡花의 鏡花短編集(しっぽうのはしら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,632자 · 32화면
「マッチをあげますか。」
「先ず一服だ。」
安煙草の匂のかわりに、稲の甘い香が耳まで包む。日を一杯に吸って、目の前の稲は、とろとろと、垂穂で居眠りをするらしい。
向って、外套の黒い裙と、青い褄で腰を掛けた、むら尾花の連って輝く穂は、キラキラと白銀の波である。
預けた、竜胆の影が紫の灯のように穂をすいて、昼の十日ばかりの月が澄む。稲の下にも薄の中にも、細流の囁くように、ちちろ、ちちろと声がして、その鳴く音の高低に、静まった草もみじが、そこらの刈あとにこぼれた粟の落穂とともに、風のないのに軽く動いた。
麓を見ると、塵焼場だという、煙突が、豚の鼻面のように低く仰向いて、むくむくと煙を噴くのが、黒くもならず、青々と一条立騰って、空なる昼の月に淡く消える。これも夜中には幽霊じみて、旅人を怯かそう。――夜泣松というのが丘下の山の出端に、黙った烏のように羽を重ねた。
「大分上ったな。」
「帰りますか。」
「一奮発、向うへ廻ろうか。その道は、修善寺の裏山へ抜けられる。」
一廻り斜に見上げた、尾花を分けて、稲の真日南へ――スッと低く飛んだ、赤蜻蛉を、挿にして、小さな女の児が、――また二人。