후리가나로 읽는 일본 고전
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
永井 荷風의 雨瀟瀟・雪解 他七篇(あめしょうしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,414자 · 289화면
種彦の家でも同じくその頃に毎年蔵書什器の虫払をする。そしてその日の夕刻からは極く親しい友人や門弟が寄集って主人柳亭翁が自慢の古書珍本の間に酒を酌み妓を聘して俳諧または柳風の運座を催すのが例であった。けれども今年ばかりはわざわざそれらの蔵書什器を取り出して厳しい禁令の世の風に曝すという事がいかにも空恐ろしく思われた処から、種彦はわが秘蔵の宝をもよし蠹が喰うならば喰うがままにと打捨てて置く事にした。
実際種彦はもう何をする元気もなくなってしまったのである。老朽ちて行くその身とは反対に、年と共にかえって若く華やかになり行くその名声をば、さしもに広い大江戸は愚か三ヶの津の隅々にまで喧伝せしめた一代の名著も、あたらこのまま完成の期なく打捨ててしまわなければならぬのかと思うと、如何にしても癒しがたい憂憤の情は多年一夜の休みもなく筆を執って来た精魂の疲労を一時に呼起し、あるかぎりの身内の力を根こそぎ奪い去ってしまったような心持をさせるのである。禁令の打撃に長閑な美しい戯作の夢を破られなかった昨日の日と、禁令の打撃に身も心も恐れちぢんだ今日の日との間には、劃然として消す事のできない境界ができた。