후리가나로 읽는 일본 고전
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
長与 善郎의 青銅の基督(せいどうのキリスト)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 66,703자 · 133화면
かくて夜の世界の不安と、寂寥と、戦慄と、魅力とが魔のごとく彼を襲い、捕えた。魔に捕えられることは恐るべき苦痛であり、また寒い喜びであった。何かが抵抗すべからざる力で若い彼の心臓をわき立たせ、真昼の端正な「伎芸天」までが妖艶、婀娜な姿に変じて燃える目で彼を内から外へ誘い駆りたてるのであった。
その家に今これから帰ることは思っただけでも苦痛なことであった。それが苦痛でなくなるまで彼は外で、夜の世界で、疲れ切らなければならなかった。
彼は大波止の海岸の方へ向かって、浜から来る汐臭い秋風にふるえながら歩いた。いつもそこを通るごとに癖のように引きずられて立ち寄るシナ店の前をも彼は今気がつかずに通り越していた。
彼は海岸へ出た。蕭条たる十一月の浜べには人影一つなく、黒い上げ汐の上をペラペラとなで来る冷風のみが灯をつけた幾十の苫舟をおもちゃのように翻弄していた。岸に沿って彎曲している防波堤の石に腰かけて杖をたらせばその先の一、二寸はらくに海水にひたる。ひしひしと上げくる秋の汐は廂のない屋根舟を木の葉のように軽くあおって往来と同じ水準にまでもたげている――彼はそこに腰をかけた。