후리가나로 읽는 일본 고전
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わし
鷲
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 鷲(わし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 144,476자 · 290화면
かれはお町という妻を迎えて、慶応三年にはお峰という長女を生んだ。それが現代の邦原君の姉である。
その翌年は慶応四年すなわち明治元年で、勘次郎は二十三歳の春をむかえた。この春から夏へかけて、江戸に何事が起ったかは、改めて説明するまでもあるまい。勘次郎は老いたる母と若い妻と幼い娘とを知己のかたにあずけて、自分は上野の彰義隊に馳せ加わった。
五月十五日の午後、勘次郎は落武者の一人として、降りしきる五月雨のなかを根岸のかたへ急いでゆくと、下谷から根岸方面の人々は軍の難を逃がれようとして、思い思いに家財を取りまとめて立退いた後であるから、路ばたにはいろいろの物が落ち散っていて、さながら火事場のようである。そのあいだを踏みわけて、勘次郎はともかくも箕輪の方角へ落ちて行こうとすると、急ぐがままに何物にかつまずいて、危うく倒れかかった。踏みとまって見ると、それは一つの兜であった。しかも見おぼえのある兜であった。かれはそれを拾い取って小脇にかかえた。
持っている物でさえも、なるべくは打捨てて身軽になろうとする今の場合に、重い兜を拾ってどうする気であったか。後日になって考えると、彼自身にもその時の心持はよく判らないとの事であったが、勘次郎は唯なんとなく懐かしいように思って、その兜を拾いあげたのである。