후리가나로 읽는 일본 고전
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わし
鷲
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 鷲(わし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 144,476자 · 290화면
兜
一
わたしはこれから邦原君の話を紹介したい。邦原君は東京の山の手に住んでいて、大正十二年の震災に居宅と家財全部を焼かれたのであるが、家に伝わっていた古い兜が不思議に唯ひとつ助かった。
それも邦原君自身や家族の者が取出したのではない。その一家はほとんど着のみ着のままで目白の方面へ避難したのであるが、なんでも九月なかばの雨の日に、ひとりの女がその避難先へたずねて来て、震災の当夜、お宅の門前にこんな物が落ちていましたからお届け申しますと言って、かの兜を置いて帰った。そのときあたかも邦原君らは不在であったので、避難先の家人はなんの気もつかずにそれを受取って、彼女の姓名をも聞き洩らしたというのである。何分にもあの混雑の際であるから、それも拠んどころないことであるが、彼女はいったい何者で、どうして邦原君の避難さきまでわざわざ届けに来てくれたのか、それらの事情は一切わからなかった。
いずれその内には判るだろうと、邦原君も深く気にも留めずにいたのであるが、その届け主は今に至るまでわからない。焼け跡の区画整理は片付いて邦原君一家は旧宅地へ立ち戻って来たので、知人や出入りの者などについて心あたりを一々聞きただしてみたが、誰も届けた者はないという。