후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
岸田 国士의 光は影を(ひかりはかげを)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 138,262자 · 276화면
約束の時間があるから、おれは失敬するぜ」
京野等志は、そのまゝ家を出るには出たが、南条の用件が彼にはうすうすわかつているので、すこし気にならぬでもなかつた。
彼がその日会う約束があるのは、現在、横浜のさる労務関係の事務所に勤めている兵隊時代の仲間であつた。
その男は、実にいろいろなことをして来た男で、退屈な守備の夜々、類例のない豊富な経験談で、いつも彼を興がらせた。京野等志が、仕事を探しあぐね、例の輪タクでもと肚をきめたとき、ひよつくりと、彼の消息がわかつたのである。一度会いたいと言つてやると、早速、この次の日曜の朝十時に、事務所で待つているという返事であつた。
海岸に近い、焼跡のビルディングの一階をそのまゝ手入をして使つている殺風景な事務所であつたが、受附もなにもなく、正面のデスクから、彼の姿を見つけて、「おい、こゝだ」と声をかける浜田浜六の顔は、屈托のない笑いに崩れていた。
彼は近所のビヤホールへ京野を案内した。話はどこからでもほぐれていつた。
「なに、仕事を探してる? ぼやぼやするなよ。そんなもの、いくらだつてころがつてるじやないか」
「選り好みをしなければだろう?」