후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
岸田 国士의 光は影を(ひかりはかげを)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 138,262자 · 276화면
十時頃という返事に、それなら、中央線に連絡する小諸発の汽車に間に合う計算だということがわかつた。
その時間に、彼は、小萩を乗せた自動車を駅で待ち受けるという寸法なのである。
不思議な興奮が、だんだん、彼を襲う様子は、時刻が迫るにつれてはつきりして来る。駅の前の通りを、無意味に往つたり来たりする自分のすがたを、まつたく自分では意にとめぬ風であつた。
降り列車の時刻は、もう数分を余しているにすぎぬ。ところが、待つている自動車はいつこうに現れない。いよいよ、列車がホームにはいつた。そして、僅かな停車の後、発車の汽笛が鳴つた。
彼は、近所の公衆電話へ駈け込んで、療養所を呼び出した。
迎えの自動車へ乗せようとする間際に、小萩が脳貧血を起して、そのまゝ、病室へ引き返さねばならなくなつたことを知つた。
「脳貧血ぐらいですむんですか、え、そいつは?」
と、彼は、呼吸をはずませて、受話器へどなりかけたが、なんの返事もなかつた。
彼は、昼頃まで懐古園のなかを歩きまわり、千曲川を見降ろす崖の上に立ち、うろ覚えのローレライを口吟み、たゞなんということなく、時間の過ぎるのを待つた。