후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
岸田 国士의 光は影を(ひかりはかげを)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 138,262자 · 276화면
真喜が言つた。
「新婚旅行に来た時、うんと嘗めさせてあげるよ」
と、京野等志はいつた。
「なるほど、蜜月旅行だ、それこそ……」
南条己未男が、すかさず口を挟んだ。
二人は、やがて、もう、帰ると言いだした。京野等志は、別にそれをとめようともしなかつた。
「そうか。なんにもおかまいできなくつて……。小萩からよろしくつていうことだつた」
とつさに口に出た、言わば儀礼的な挨拶であつた。
「じや、ご機嫌よう、兄さん……。お二人のご幸福を祈つてるわ」
と、真喜が、快活に言つた。そして、いくどもうしろを振りかえりながら、南条己未男の腕をとつた。
京野等志は、返す言葉もなく、この小鳥のようにはしやいでいる妹の後姿を、じつと見送つた。なんだか、いまいましいような気もする。だが、それと同時に、はじめて、七年前のあの無邪気な、人懐こい妹にめぐり合つた思いで、胸がじいんとするのであつた。この一年あまり、同じ屋根の下で暮していた時分の、どことなく刺々しい、つねに反抗的な身構えで誰にでも突つかゝろうとした彼女の態度は、まつたく今はみられず、たとえずけずけ物を言うにしても、ヒステリカルな暗い影などは、露ほどもないのを、彼は不思議に思わないわけにいかなかつた。