후리가나로 읽는 일본 고전
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
山本 周五郎의 山彦乙女(やまびこおとめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,360자 · 251화면
こういうなかで、愛する者ができた。
温和しい、いい人です、と云ったが、おそらくそのとおりだったろう。二人は結婚し、貧しくはあるが、温かくつつましい暮しができたかもしれない。しかし、そこへ亭主が、牢舎から出て来ることになった。
「――可哀そうに」
その知らせを聞いたときの、なをや、なをの男の、途方にくれたありさまが、半之助には見えるようであった。
――だが可哀そうなのは、なをたちには限らない。
半之助はまたこう思った。仮に、なをに勇気があり、家族を捨てて、その男とどこかへ逃げたとしよう。新しい結婚は、いっとき二人を幸福にするかもしれない。しかしそれは短い期間のことだ、のがれることのできない、きびしい生活のくびきのなかでは、どんな愛情も傷つかずにはいないし、お互いに飽きるほうがもっと早いかもしれない。
男は、なをの過去に悩まされるだろう、また彼女のために自分の生涯を誤ったという考えで、なをを憎むように、なりはしないか。……なをはなをで、捨てて来た家族のために、自分を呪い、男を恨むように、ならないであろうか。
――やがて子が生れ、絶えまなしに追われる生活に疲れて、いっそあのとき、死んでしまえばよかった、というときが来る、いつか必ず、そうなるに違いない。