후리가나로 읽는 일본 고전
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
山本 周五郎의 山彦乙女(やまびこおとめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,360자 · 251화면
「いつかお話しますわ、もう少し経ったら、もう少しして、もしかあなたが、……いいえ、あたし帰りまあす」
叫ぶように云って、にわかに騒ぎだす小鳥たちの群に、身のまわりを囲まれながら、すばやく駆けだしたが、すぐに立ち停り、ふり返って、こんどはいさましく叫んだ。
「また忘れました、あなたのお名前なんていうんですか」
「好きなようにお呼びなさい」半之助は答えた、「私は自分の過去ときれいに別れたのです、名前も捨ててしまいました、貴女の好きな名で呼んで下さい」
「わあうれしい、それじゃ考えて来ます」
そして道のほうへと、駆けおりていった。
小鳥たちを叱る声や、木の枝の折れる音などが、しだいに遠くなり、やがてなにも聞えなくなると、東の空を重たげに塞いでいた、黒ずんだ牡丹色の雲が裂けて、いつか朝の日光が、きらきらと森の梢を染めだしているのが、見えた。……霧はもう、すっかり山の高みへ去り、小鳥の鳴き声も、ずっと下の、林のほうへと移った。森の中のひんやりした空気に、かなりつよく、杉や檜の爽やかな香が、匂い始めた。
半之助は夜になるまで、花世のいいつけに従って、そこを動かずにいた。