후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면
その通りには更に裏通りへ通ずる石畳を敷いた急勾配の露路が幾つもあった。それ等は孰れも両側の高い建物に挟まれて黒い陰の中に埋っていた。
私は下宿まで歩いて帰る積りで、人通りの稀れな、明るい街路を靴音を立てながら、歩いていった。とある露路の角に差かかった時、突然、啻ならぬ女の叫声をきいたので、驚いて足を駐めると、不意に真暗な露路から飛出してきた女と危く衝突りそうになった。私は蹌踉きかかった女をしっかり抱きとめて、
「どうかしましたか」といったが、街灯の光に照出された白蝋のような女の顔を見ると、余りの驚愕に私は言葉が閊えてしまった。それは夕方以来、私を悩ましていた、あの美しい女である。
「早く、何卒、タクシーを呼んで下さい。早く、早く」女は激しく息をはずませながらいった。
私は彼女を抱くようにして、夢中で大通りの四辻まで走っていって、折よく通りかかった空車を呼止めた。
彼女を乗せた自動車が雑鬧のうちを無事に疾走り去ってしまうのを見届けると、私はホッとして元の道路へ引返した。
その時は既に数個の黒い人影がバラバラと露路の方へ走ってゆくところであった。物見高い群衆が刻々に謂集ってきて、狭い露路は倏忽黒山のようになった。